2004-05-28-Friday

<講義 講義名="金融論" 限="2" 担当="数阪孝志">
<日付 曜日="金">5/28
<配布プリント枚数>1 - 金融論(第6回) IS-LM分析

●金融論(第6回) IS-LM分析 (参考文献 北坂真一 「マクロ経済学・ベーシック」第7章 有斐閣 2003年)

  1. 財市場の均衡をあらわすIS曲線(右下がり)と貨幣市場の均衡をあらわすLM曲線(右上がり) 物価変動がないという仮定の下で両曲線の交点にある国民所得(Y)と利子率(r)が財市場と貨幣市場の同時均衡状態を達成できる。
  2. IS曲線の傾きに影響する要因
    1. 投資の利子率に対する反応の度合い
    2. 限界消費性向
  3. LM曲線の傾きに影響する要因 http://ja.wikipedia.org/wiki/LM%E6%9B%B2%E7%B7%9A
    1. 貨幣に対する取引動機
    2. 投機的動機の利子率に対する反応度
  4. IS-LM分析にもとづく金融政策の効果の検証
    1. 利子率を低下させる政策が行われた場合
    2. マネーサプライを増加させる政策が行われた場合
  5. 金融政策が有効に機能しない場合
    1. IS曲線が垂直の場合
      1. マネーサプライが増加し、LM曲線がシフトすることで利子率は低下する。しかし、IS曲線が垂直なために国民所得は変化しない。投資が利子率に反応せずに一定である場合、すなわち投資が利子率に対して非弾力的な場合。
    2. LM曲線が水平の場合
      1. 利子率が十分に低く、全ての家計が将来の利子率の上昇、すなわち債券価格の下落を予測するために、貨幣の投機的需要が無限大になる場合(「流動性の罠」の状態)。このような状況では、いくらマネーサプライを増やしても全てが貨幣の需要に吸収され利子率は低下しない。このために、有効需要の創出は起こらず金融政策が無効となる。