2004-05-21-Friday

<講義 講義名="金融論" 限="2" 担当="数阪孝志">
<日付 曜日="金">5/21
<配布プリント枚数>2

  1. 新聞記事
    1. (日経2004年5/21 社説) UFJは再生の道筋を明確に http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20040520MS3M2000G20052004.html
    2. 東京新聞 2004年5/20 社説) UFJ銀行経営をもっと明確に http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040520/col_____sha_____002.shtml
    3. 金融論プリント(第5回) - 参考文献 北坂真一 「マクロ経済学・ベーシック」有斐閣 2003年

■金融論プリント(第5回) - 参考文献 北坂真一 「マクロ経済学・ベーシック」有斐閣 2003年

  1. (1式) 家計の予算制約式 Mh0 + (1 + r)Bh0 + Yh = C + Th + Mh1 + Bh1
  2. (2式) 企業の予算制約式 (1 + r) Bf0 + Yf = I + Tf + Bf1
  3. (3式) 政府の予算制約式 T + (M1 - M0) + (B1 - B0) = G + rB0
  4. (4式) 全て合計すると (Mh0 - M0) + (1 + r)(Bh0 + Bf0 - B0) + (T - Th - Tf) = (C + I + G - Y) + (Mh - M) + (Bh + Bf - B)
  1. (4式)の左辺において、貨幣に関する第1項と債券に関する第2項は、ともに供給と需要の事後的な値であるから、2つの()内はゼロとなる。
  2. 租税に関する第3項も、税金の支払いと収入であるからゼロとなる。
  3. 従って、左辺全体がゼロ。
  1. (4式)の右辺の第1項は、財市場における超過需要をあらわす。
  2. 生産過程でYの所得が発生しているので、Yだけの最終生産物が生産されている。
  3. 一方、この経済では C + I + G が総需要であり、総需要 (C + I + G) から総供給Yを引いた残りは供給を上回る需要である。
  4. 第2項は、貨幣市場における超過需要。
  5. 第3項は債券市場における超過需要をあらわす。
  6. 右辺全体も合計はゼロ。
  1. ワルラス法則 - 市場の超過需要の和がゼロになる
    1. 各経済主体が予算制約式に従って経済的意思決定を行うことが前提。
    2. ワルラス法則により、均衡状態にあれば3つの市場のうち任意に選ばれた2つの市場だけを分析すれば、残り1つの市場は結果的に均衡する。
  2. IS-LM分析 - 財市場と貨幣市場の均衡を分析
    1. IS-LM分析とは、ケインズが「一般理論(1936年)」で述べた見解をヒックスが数理モデルとして定式化したもの
    2. 財市場と貨幣市場が同時に均衡することで、国民所得と利子率が内生的に決定されることが示されている。
    3. 物価水準は一定と仮定
  3. IS曲線
    1. 財市場の均衡 Y = Ys = Yd = C + I + G
    2. 租税を省略し、政府支出Gもゼロと仮定すると、貯蓄の定義 S = Y - C から S = I
    3. 財市場の均衡は、貯蓄と投資の一致であらわされる
    4. 貯蓄は所得の増加関数
    5. 投資は利子率の減少関数
    6. Yが増加すると貯蓄が増加する。
    7. このとき財市場が均衡するためには、利子率が下落して投資が増加しなければならない。
    8. これにより、財市場が均衡するとき国民所得と利子率の間に負の関係が成り立つ。
  4. LM曲線
    1. 貨幣市場の均衡 M = L(Y,r)
    2. 貨幣供給は政府によって決定される外生変数
    3. 物価水準は一定と仮定
    4. 貨幣需要は、国民所得の増加関数。利子率の減少関数。
    5. 所得Yが増加すると貨幣需要が増すので、貨幣の供給が一定のもとでは利子率が上昇して貨幣需要が減少しなければ均衡しない。
    6. 従って、貨幣市場が均衡するためには国民所得と利子率の間に正の関係が成り立つ。