ヰ記列伝四 Falcosapiens 伝 - Wikipediaスレ第三刷 revert(趣味一般@2ch掲示板)


'''Falcosapiens'''(ふぁるこさぴえんす)は、ウィキペディアのユーザーである。
事実上の法律顧問として重宝される。
賢い鷹(中の鳥は賢いふくろう)。


185 :ヰ記 ◆8j8SuAgLGo :03/12/06 05:52 ID:???
==法律ことはじめ=-

ユーザーノートによれば、Falcosapiensは20代の男性で、法律を生業としている。
それ以上に推測できることは、刑法に強いこと、おそらく学者ではなく実務家であろうこと、どこかでpikiwikiをいじっている(≒ウェブサイトをいじっている)ことくらいであろうか。

参加開始は2003年4月20日、[[六法]]のスタブ記事を新規におこし、ついで[[法律]]を法学的な定義に書き換えた。

この頃のウィキペディアはなお荒涼としており、特に社会科学系は質量ともに寒々しい状態にあった。
法律分野にある程度以上の長さの記事は三つほどしかなく、あとは赤リンクとスタブしかなかった。


186 :ヰ記 ◆8j8SuAgLGo :03/12/06 05:53 ID:???
ことの初め、Falcosapiensには不満があった。
運営や方針についてではなく、書かれている内容に対する不満である。
記事が何も書かれていないところについては新しく書き下ろせばいいとして、見当外れの解説はどうすればいいのか。
ノートに疑問を書き込んだ。
そして幾度かのやりとりの中で、得心した。
ここは自分が好きにしていいのだ、と。

この時点でウィキペディアの執筆者に、法律をきちんとカバーできる人はおらず、そうしようと思っている人もいなかった。
百科事典としての体裁をとるために無理して書き込んだが、できる人がいるならさっさと手を引きたいというのが本音であったろう。
Falcosapiensはすんなりとこの分野の第一人者におさまった。
ウィキペディアは、はじめて法律分野の編者を得た。


187 :ヰ記 ◆8j8SuAgLGo :03/12/06 05:59 ID:???
==法律顧問Falcosapiens==

大百科事典(予定)の唯一人の法律専任編者という地位は、気分がいいものであったろう。
初期メンバーの期間限定特権である。
とはいうものの、目の前の荒蕪地はあまりに広大であった。
まともな記事の執筆に手間暇がかかるのは、昔も今も変わらない。
スタブや微修正も含めた現在までの編集回数の中で、法律記事は半分を越えるくらい、一日あたり約2件であった。

法律を正確に解説できる人がいるのは、心強いことである。
管理者のTomosは、5月13日に、「ウィキペディアアメリカのサーバを使っているわけですが、日本語版は日本の著作権法を考慮すればいいのでしょうか?」とFalcosapiensの会話ページで質問した。
全ての国について考慮が必要、現実的には日本というのがFalcosapiensの答えであった。


188 :ヰ記 ◆8j8SuAgLGo :03/12/06 06:02 ID:???
5月23日にはGが、絵画本体の著作権の保護期間が切れている場合に、その写真画像を掲載することに法律的な問題はないのかと質問した。
お答えは、問題なし。
これらの指名質問は、ネット論客の参戦を嫌ったせいかもしれない。
Falcosapiensはそれとは別格ということでもある。

Falcosapiensの発言は、クリトリス画像論争でも重みを持った。
ポルノ画像から切り取ったとおぼしき画像を、クリトリスに貼り付けたのをどうするかをめぐる論争で、6月8日から始まり、一応の決着に10月までかかった。
Falcosapiensは、「わいせつ物か否か」「サーバーの所在とわいせつ物陳列罪」といった解説と、個別参加者の質問への回答によって、ノートの議論に基礎材料を提供した。
クリトリス画像論争は長く苦いものだったが、このときもしFalcosapiensがいなかったり、あるいは未だ人々の信頼を得ていない段階であったら、さらにもつれていたかもしれない。


189 :ヰ記 ◆8j8SuAgLGo :03/12/06 06:04 ID:???
7月10日には、[[早大サークル強姦事件]]のノートで、次のような意見を開陳した。
「仮に有罪となったとしてもこの記事が将来、名誉を毀損するものとなる可能性があるので、このような記事の掲載は慎重を期するべきかと。
別の次元の話として、特定の性犯罪の話題を記事として取り上げることについては、私は反対であることを表明しておきます。(以下略)」
「刑の終了後、一定期間経過した後にあっては刑事公判において公開された事実であっても、 なおプライバシーの対象となるという判例があることを一言付言させていただきます。」
これにあわせて、2か月後の9月30日に、IPユーザーが実名を削除した。

Falcosapiensは、法律知識を引くときに、自説に有利な操作をせず、自説に不利なことを伏せるようなことはしない。
冷静で、結論を急がない。
議論のまとめ役は他に譲ったが、後から振り返ると、Falcosapiensの意見が決着に大きな影響をもたらしたことに気づく。


197 :ヰ記 ◆8j8SuAgLGo :03/12/06 11:29 ID:???
==投稿が望まれているページと一覧==

Falcosapiensは、特別ページの[[投稿が望まれているページ]]や[[孤立しているページ]]を参照点として用いた。

投稿が望まれているページは、今はサーバ負荷のため停止状態にある。
数多くの赤リンクを集めた記事名を一覧表示する機能である。
初期のウィキペディアはとにかく何もなかったので、何を書いてもいい反面、孤立した記事ができやすく、執筆者が空しさや寂しさを感じる欠点があった。
投稿が望まれているページは、初期参加者の幾人かに愛用されていた。


198 :ヰ記 ◆8j8SuAgLGo :03/12/06 11:31 ID:???
Falcosapiensも愛用者の一人で、5月1日には「自分の名前が、投稿を望まれている記事の2番目というのも微妙なので、とりあえず」という変わった理由でノートページに書きこんだ。
16日に一度、同じ理由でIPユーザーの利用者ページに一文書き込んだことがある。

このようなFalcosapiensが、赤リンクを積極肯定する意見を持つのは当然である。
だが、活用には赤リンクが乱用されないことが条件になる。
それもあってか、はじめのうちFalcosapiensは一覧記事に好意的でなかった。


199 :ヰ記 ◆8j8SuAgLGo :03/12/06 11:32 ID:???
5月14日から26日にかけて、ウィキペディアでは[[話題になった人一覧]]の編集合戦が荒れ狂った。
一言コメントをつけて話題の人を次々に書き加える2chと、それを片っ端から削除するおこめの間の戦いである。
このとき、Falcosapiensは一覧削除と内容救済をあわせた妥協案を出した。

  この記事を見る人はどのような人かを意識して記事にしなければ、雑多なゴミが増えるばかりです。
各年ごとに記事あるのですからその下に、その年話題だった人を記録するのではいけないのでしょうか?。
この記事の本文に、その旨記載すれば問題ないように思いますが。Falcosapiens  14:27 2003年5月14日 (UTC)

しかしこのとき渦中の人たちはまともな検討をする気分ではなく、この提案が生かされることはなかった。


200 :ヰ記 ◆8j8SuAgLGo :03/12/06 11:35 ID:???
だが後にFalcossapiensは考えを改めたのか、赤リンクを控えつつ、自ら一覧作りに参加するようになった。
5月には、[[自殺した有名人一覧]]では、割りとどうでもいいようなことで真剣に悩む姿がみられた。

11月6日には、[[カクテル一覧]]のノートに登場して、小さじ一杯ではなく1tspと表記すべきと論じた。
主張は通ったが、必然的成り行きでで、カクテル計画に加わることになった。


202 :ヰ記 ◆8j8SuAgLGo :03/12/06 11:50 ID:???
==巨人からの後退==

Falcosapiensの活動は、社会全般に及んだ。
法律に限らず、広く社会科学分野で、優れた記事が書ける数少ない人材の一人であった。
もっとも、法律の世界の外に出たFalcosapiensは、良識を備えた人でありつつも、皆と比べた卓越性は分野の中にいるとき程ではない。

やがて、弱い弱いと言われた社会分野にも、新しい移住者が増え始めた。
執筆層が厚みを増した秋以降は、Falcosapiensも多くの峰のうちの一つになったようである。
法律分野にも9月にT.Nakamuraが、10月にゆすてぃんが登場した。
後続に刺激を受けたか、Falcosapiensの編集記事に占める法律記事の比率は増加し、逆に言えば他分野への出張は減った。


203 :ヰ記 ◆8j8SuAgLGo :03/12/06 11:52 ID:???
こうしたFalcosapiensの見かけ上の変化は、法律分野に限らず、初期ウィキペディアにおける専門家のたどる道を典型的に示しているように思われる。

分野の空白を一人で塗り替える気概をもって開墾に取り組んだとき、Falcosapiensは、唯一の法律専門家であり、他の広い範囲を見渡して屹立する巨人であった。
後から来る者は、確かに彼を仰ぎ見た。
しかし、参加者の増加と記事の充実に伴い、その地位は今では法律分野の第一人者というところにまで下がり、いずれは良い執筆者の一人というところにまで後退するだろう。
人の身の丈程度の智者と認識され、そこで低落は底になる。
とはいえ議論の場では、これまでの実績にともなう声望が、ずっと後まで残ると思われる。

この間Falcosapiensの執筆のペースが落ちたわけでも、質が低下したわけでも、議論の力が衰えたわけでもない。
これらはむしろ上向きである。
しかしそれでも、巨人からの後退は、初期の執筆者たちが共通にたどらねばならない運命なのである。

(Falcosapiens伝 完)